地域・大学インタラクション型の学習事業
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神戸山手短期大学
キャリア・コミュニケーション学科

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神戸市中央区諏訪山町3-1
TEL:078-371-6184
FAX:078-371-4972


平成19年度現代GPフォーラム
  「古今東西結婚模様」実施報告

「魅力創出」(アトラクティブブライダル)部門
 平成20年2月21日(木)、本学3号館にて、第1回現代GPフォーラム「古今東西結婚模様」を開催しました。当日は、100名近い参加者でにぎわい、3人の講演者による多様で興味深い講演と参加者からの熱心な質疑によって、フォーラムは大盛況のうちに無事終了することができました。皆さまのご参加ありがとうございました。

■ フォーラム概要

【開催日時・場所等】
日時:平成20年2月21日(木) 14:00〜16:00
場所:神戸山手大学・神戸山手短期大学3号館3111教室
参加者:約85名
(内訳:学生、学内教職員、他大学・学校関係者、企業関係者、一般参加者)

【開催趣旨】
 今回のこのフォーラムは、平成19年度文部科学省「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」に採択された『地域・大学インタラクション型の学習事業〜理論・実践一体型教育プログラム「ACT山手」〜』の一環として開催されました。具体的には、「ACT山手」の2部門の中で、主に「魅力創出(アトラクティブ・ブライダル)」部門の理論編として設定されました。
 本フォーラムの目的は、ブライダルの国際的な文化的背景や知的教養を、日本文学、英文学、文化人類学の視点から学びなおすことです。つまり、採択事業の教育の理論的検証と発展を図ることをねらいとしています。さらに、本フォーラムを地域にも広く一般公開することにより、地域からの本事業についての理解と支援、及び地域との連携の充実発展を目指すことも大きな目的とします。

多くの参加者で会場は満席となった。

【当日のプログラム】
 当日の日程(プログラム)は次の通りです。講演者のご協力をいただき、講演内容の全文テキストをPDFにてご覧いただけます。
 13:30 開場
 14:00 開会
     開会挨拶 学長 石井恭子
     司会 川崎佳代子
       (キャリア・コミュニケーション学科教授)
 14:10 講演
     *「源氏物語に見る結婚と平安時代の実態」
        村井利彦(神戸山手大学 現代社会学部 都市交流学科教授)
     *「シェイクスピア劇に見る結婚とエリザ朝の実態」
        上村幸弘(梅花女子大学 文化表現学部教授)
     *「韓国の結婚 昔と今」
        岡田浩樹(神戸大学大学院 国際文化研究科教授)
 15:10 休憩
 15:25 質疑応答
 16:00 総括・挨拶  司会 川崎佳代子
 16:05 閉会
(各講演のタイトル、質疑応答をクリックするとPDFファイルにて講演内容を読むことが出来ます。)

開会の挨拶をされる石井学長 講師を紹介される司会の川崎教授

【実施内容】
<開会挨拶>
 当日は、早くから来場者が姿を見せ始め、開始時間までには多くの参加者で会場はほぼ満員になりました。フォーラムの冒頭では、本学の石井恭子学長から開会の挨拶があり、本学の教育理念および本学現代GPの意義および概要についての紹介がありました。その後、司会の本学川崎佳代子教授から本日の3人の講演者および講演内容について紹介があり、日本文学、英文学、文化人類学のそれぞれ異なった視点から、様々な結婚の制度や実態などについて興味深い講演が行われることが伝えられました。

<講演内容(概要)>
 最初に、村井利彦教授から「源氏物語に見る結婚と平安時代の実態」と題する講演が行われました。『源氏物語』を通して見られる、平安時代貴族の結婚制度と結婚の実態についての話です。冒頭に平安時代の貴族の結婚は政治の一環であり、貴族の権力基盤の成立に貢献したことが、男子出産や乳母制度などとともに具体的に説明されました。それに続いて光源氏と紫の上との非公式な結婚、さらに光源氏をめぐる様々な女性たちとの恋愛と結婚模様についての話がありました。また、当時の女性にとって結婚は不自由なものではなく、結婚前にきちんと御簾越しに男性を品定めしていたという意外な話も披露されました。ただ、結婚後は原則として女性の家が男性の面倒をすべてみなくてはならないので、一夫多妻制の中、女性は男性を引き留めるのに大変だったとの話に、当時の女性の苦労が偲ばれました。最後に、「花心の愛」(たくさんの人を愛する)と「二心なき愛」(一人だけを愛する)という話で、講演は締めくくられました。平安時代の社会制度、結婚制度の中で繰り広げられる、現代と変わらぬ男女の結び付きや結婚模様をユーモアたっぷりに紹介する村井教授の話しぶりに、会場からは終始なごやかな笑いが絶えませんでした。
 次は日本の平安時代から、イギリスの1530〜1610年に一飛びして、上村幸弘教授から「シェイクスピア劇に見る結婚とエリザ朝の実態」と題する講演が行われました。シェイクスピアの喜劇(コメディー)作品の中に見られる結婚についての話です。冒頭に、コメディーの語源や種類、内容などについての概説があり、続いてシェイクスピアの生きたエリザ朝、正確にはテューダー王朝について詳しい説明がありました。また、当時の英国の結婚観には、村井教授の日本の平安時代の話と共通する所があるとの指摘があり、貴族の初婚年齢の低さ、乳母制度を取りあげました。例えば、『ロミオとジュリエット』のジュリエットは13歳で結婚するし、イギリス貴族の間では「ナース」と呼ばれる乳母制度があったとのことです。さらに、テューダー王朝時代の結婚に関して、考えなくてはならないことは宗教改革と家父長制だと指摘し、端的な説明がありました。最後に、『十二夜』という、王侯貴族の結婚と恋をめぐるコメディーについて解説。個々の登場人物や、イギリス貴族の結婚模様、さらにその物語の中に垣間見られるイギリス庶民の結婚の実態についてもお話しくださいました。
 最後は、岡田浩樹教授から「韓国の結婚 昔と今」と題する講演が行われました(岡田教授のPower Pointのスライド資料は、ここをクリックするとPDFファイルで閲覧することが出来ます)。これまでの文学的視点から打って変わって、文化人類学の視点からの韓国の結婚についての紹介となります。文化人類学は、現実のフィールドワークに基づくので、前の2つの講演とは異なり、主に19世紀から現代までの庶民の視点になるとのこと。また、文化人類学から見た場合、基本的に結婚はコミュニケーションであり、通過儀礼だとの概説が始めにありました。一般に近代からは中流階層が発展しますが、面白いことに、その結婚や家族のモデルは以前のエリート文化に求めることが多いそうです。韓国では、以前の朝鮮王朝時代には、儒教の教養を身につけたヤンバンという支配階層がおり、朱子家礼に従って冠婚葬祭を執り行っていました。ヤンバンと常民の間には服装その他に厳しい身分秩序がありましたが、一生に一度結婚式の時だけその規制が外れ、皇女とヤンバンの衣裳が着用されたそうです。次に、今現在の話に移って、韓国の女性誌の結婚特集、「単」という結納品、高価な結婚撮影、実際の結婚式の様子、立会人制度、新婦が新郎側の親族と挨拶をかわす「ペデェク」という儀式、結婚によって女性の呼び名が変わること、夫婦別姓、出産の神々など、韓国独特の結婚文化や結婚制度がパワーポイントの映像とともに紹介されました。さらに、結婚後についても、離婚率の上昇、夫婦同墓などの興味深い話を披露してくださいました。

講演される村井教授 講演される上村教授
           

<質疑応答>
 今回は最初の受付の際に質問票を参加者に配布し、講演終了後の休憩時間にそれを回収しました。そして、多く寄せられた質問の中から、司会者が代表的な質問をいくつか選び、講演者に回答を求めるというスタイルをとりました。活発な質疑応答によって、それぞれの講演内容の理解を深めるたいへん充実した時間となりました。(質疑応答の内容については全文テキストをプログラムのリンクからPDFにてご覧いただけます)

<閉会あいさつ>
 最後に、本日司会を務めた川崎教授より講演内容、フォーラムの成果・意義などについて総括があり、いくつかの展望が示されました。(詳しい内容については、質疑応答のPDFファイルの文末にてご覧いただけます)

【成果報告】
1.結婚に対する理解の深化
 このフォーラムを実施したことによる最大の成果は、参加者が結婚に関する制度、実態などについて、国際的、歴史的、文化的視点から理解を深めることができたという点にあります。その成果は、参加者からの挨拶やアンケート結果などを通した具体的な感想や言葉から確認することができます。参加者のアンケート結果を以下にまとめました。

□参加者からのアンケート結果□
・あなたの職業は?
 @学生…9 A社会人…12 B大学関係者…10 C高校関係者…1 Dその他・無回答…16

・本日のフォーラムは、あなたにとって満足のいくものでしたか? (無回答6)
 @とても満足…16 A満足…17 Bどちらでもない…9 C不満…0 Dすごく不満…0

・ブライダルに関心がありますか?(無回答1)
 @ある…34  Aない…13

 → @ある、と答えた理由
*時代を反映している点が非常におもしろい。
*いろんな教会や見学やホテルの結婚式場の挙式について話を聞いていくうちに前よりももっとブライダルに興味を持つようになった。
*日頃結婚の相談を受けますが、時代とともに結婚の考え方が違っています。少しでも、古今東西の結婚の知識や事情を知っていれば、アドバイスできるかと思い、受講させていただきました。
* 今まであまり興味は無かったのですが、お話を聞いて感心が沸きました。
* 結婚は華やかで、かつ民族性が出ているのでおもしろい。
* 将来ブライダルプランナーになりたいし、自分も近いうちに結婚するかもしれないので。
* 日本のこれからの若者たちはどのような結婚観を持っているのか。和装着付けをしているので、これからの結婚式の衣裳はどのようになっていくのだろうか、興味があります。
* 儀式としてその国の文化が表現されているので(興味があると)思う。
* ブライダル関係の仕事上、お客様との会話であったり、知識を深めたい。
 (ほか 総計21回答)

・本日のフォーラムで何が一番面白かったか?
* 源氏物語の時代をはじめ、各国各時代によって、やはり結婚が大きな問題であること。
* 韓国の結婚について。日本との違いにもますます興味関心がわきました。
* 韓国と日本の違い。
* 韓国の結婚の今と昔。結婚はするが離婚率が高い韓国と結婚しない人が多い日本。同じ少子化の構造が違っている点が興味深かったです。
* すべて非常に興味深くて面白く拝聴させていただきました。
* 源氏物語。一番身近な国である日本の今と昔の違いがよくわかるし、高校で教わったことでもあるから。今の結婚とはまったく違っていて、今の方が、自由度が高いと思います。
* 源氏物語を結婚の観点から捉えなおせたことは新鮮でした。
* 韓国の結婚事情。近い国なのにドラマで見るようになるまで、生活についても知らないことが多くあった。
* 源氏物語。男女の問題は昔も今も本質的には違わないのだと思いました。
* シェイクスピア。長男、長女が財産を相続し、それ以外の子供たちは他の貴族の家に働きに出ることでお金を稼いでいることは衝撃だった。家父長制では、貴族でも長男以外は苦労するのだなと思った。
* 3人の先生によるお話を聞いて、3つに類似点があることがおもしろかった。
* 源氏物語を読んだことが無いので、11歳で女の人が結婚すること、シェイクスピアにも内容が似ていたところ、母親は自分の子供を育てない点など、驚きました。また韓国は日本と違うところがいっぱいあって、貴族と庶民の衣裳の違いも、こんなに身分で違うものかと、3つの話それぞれとても勉強になりました。
 (ほか 総計22回答)

講演される岡田教授 閉会の挨拶をされる川崎教授

★ 複数回答として
* もっと韓国の結婚のことについて話を聞きたい。
* それぞれの講演時間が短かったので、もう少し時間をかけて突っ込んだ話を聞きたい。
 という趣旨の回答がありました。2時間という長丁場であったにも関わらず、時間を短く感じたとの感想はいくつかありましたが、長いと回答した参加者は皆無でした。それほど参加者は興味と関心をもって聞いてくださったのだと考えられます。ただ講演時間については、後日の反省会でも今後の検討事項として取り上げられました。

2.広報の成果
 本フォーラムが、新聞(読売新聞関西版2008年2月13日付、毎日新聞2008年2月21日付、神戸新聞2008年2月15日付、団地ジャーナル2008年3月7日付)にも取り上げられたことで、地域に本学現代GPの学習事業を広く公表でき、地域の理解と支援を得られたのは、大きな成果でした。また、フォーラムの案内を全国の現代GP採択校やブライダル関係企業、そして、地元企業・NPO・自治体・学校などに送付し、本学の取組を広く広報するという目的も達成できました。

3.牽引役としての期待に応える
 ブライダル科目のある、もしくは開講予定の他大学の関係者が、本フォーラムに参加されていましたが、終始熱心にメモを取り、その熱い思いが感じ取られました。これからフォーラムや催しなどがある時はまたぜひ知らせてほしいと依頼をされて帰っていかれた他大学関係者もありました。ブライダルを掲げて初めて現代GPに採択された本学に対して、当分野での牽引役やパイオニア的役割、モデル(見本)を果たすことへの期待が寄せられていることをこのフォーラムを通して実感させられました。今回のフォーラムは、その大きな期待に一つ応えたことになると考えられます。

【今後の事業への反映】
 今回のフォーラムの内容を記録に残し、結婚に対する理解と学びとを深め、教育の質的向上を図りながら、「ACT山手」の学習事業をさらに発展させていきたいと考えます。また、これからも、高等教育には不可欠な教養・理論について、検証および充実・発展をはかるフォーラムの開催を実施することは非常に重要なことであると考えています。
 次回への展望として、今回の反省点をもとに、学生による主体的な企画・運営をはかり、最終的には学生の主導によるフォーラムの開催を目指したいと考えます。また、「ACT山手」の魅力創出部門・魅力調査部門の各部門において、地域市民や地元企業・NPO参加による報告会やパネルディスカッション、会場参加者との質疑応答・意見交換、学生による実践・活動報告などを包括した産学シンポジウムの開催計画を提案する予定です。また、2部門を統括した広く大きな視点で、地域活性化と連携を展望するシンポジウムの開催の可能性も討議したいと考えます。