地域・大学インタラクション型の学習事業
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神戸山手短期大学
キャリア・コミュニケーション学科

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ブライダルアンケート依頼と韓国伝統婚礼視察

 土井講師とTA倉橋による韓国出張

「魅力創出」(アトラクティブブライダル)部門
 3月10日から12日までの3日間、土井講師とTA倉橋が韓国に出張し、20年度実施予定のブライダルアンケートの依頼と、韓国の伝統的な婚礼地の視察を行いました。出発前に予定していたよりも多くのスケジュールをこなせたことにより、多くの知識や体験を得ることができました。これを20年度現代GPの活動に生かすために、さらに研究活動をすすめていきます。以下に韓国出張全行程を報告します。

■視察内容

【1日目(3月10日)】
11:30 関空集合
13:40 関空発KE724 便にてソウルへ
15:40 ソウル着  混乗にてホテルへ
19:00 ホテル着
19:00〜22:30 通訳者と打ち合わせ会食
         明洞大聖堂を外から見学(結婚式+会食会場となることが多いため)
23:00〜24:30 翌日からのアポイントの電話草稿作成

 1日目は、ホテル到着後、TA倉橋が通訳者(李承美 Lee Seung mi)を土井講師に紹介しました。そして翌日からのスケジュールの打ち合わせが中心的な内容となりました。そこでの打ち合わせは、まずアポイントの取れていない貞華美容芸術大学と培花女子大学へ、翌11日朝に電話連絡でアポイントをとることを確認しました。そして、事前に日本で立案したスケジュールを基にして、午前中に江北地区、午後に江南地区の施設を視察する計画を立てました(ソウルは漢江という大きな川を挟んで、北を江北、南を江南と呼びます)。
 通訳者との役割確認においては、アポイントの電話、タクシーの交渉、現場での通訳の3点を主に依頼することを確認しました。なお、この打ち合わせにて、今回の仕事の目的を確認し、本出張の仕事内容を再度確認しました。
 会食後、近所に明洞大聖堂があったので、近くから見学。残念ながら、夜ということで中は見学できず、さらに残念なことに、大聖堂が改修中でその姿自体も見ることができませんでした。通訳者の李によると、韓国はキリスト教者が多く、自分の暮らす地域の、自分の通う教会で結婚式を挙げることが通例のようです。そこでは、式を挙げ、式の後に食事をする会場も設置してあります。
 明洞大聖堂は、明洞の東側のエリアに建つ韓国カトリック教会の総本山。李朝末の布教活動自由化を受け、1898年にフランス人神父によって建てられ、日本統治時代にはフランス教会と呼ばれていました。ネオゴシック様式の赤レンガはシックな雰囲気を放っています。また、日本でも有名なドラマ『美しき日々』のロケ地にもなったことがあるのでなじみのある方もいらっしゃるかもしれません。
 ホテルに戻った後は、明朝のアポイントをとるための電話の読み原稿を作成し、第一日目の行程を終えました。

1日目の打ち合わせ風景

【2日目(3月11日)】
9:00 ホテルロビー集合・アポイントの電話を各所に
10:00〜10:15 貞華美容芸術大学訪問
10:40〜11:30 雲*宮(ウンヒョングン)視察(*ヒョンは山へんに見)
11:40〜12:30 韓尚洙刺繍博物館
        (ハン・サンスジャスパムルグァン)視察
        組紐博物館
        (Dong-Lim Korean maedup Museum)視察
13:00〜13:30 培花女子大学訪問
16:00〜16:30 YALE 女子高校訪問
17:00〜     二手に分かれる
         @コリアナ化粧美術館+江南ウエディングドレス地区視察
         A2校の大学教授に協力依頼

2日目午前
 2日目は、朝9時より、アポイントの電話を開始しました。アポイントの取れた貞華美容芸術大学へ向かいました。残念ながら学長は不在でしたが、事務の女性に、結婚観に関する日韓比較のアンケートを説明し、お願いをしてきました。学長先生が不在であるにも関わらず、快く引き受けてくださいました。約600人近い生徒数を抱える同校に、100人分ほどのアンケートをお願いする旨を伝えてきました。
 一件目のアポイントを終え、スケジュールと移動の効率性を考え、次に鍾路区にある雲*宮(ウンヒョングン)と韓尚洙刺繍博物館(ハン・サンスジャスパムルグァン)に向かうこととしました。雲*宮は李氏朝鮮時代の第26代王・高宗の父である興宣大院君のもの。高宗はここで次男として生まれ、王となる12歳までを過ごした場所である。高宗と明成皇后の婚礼(老楽堂)もここで行われました。韓国の婚礼の歴史的な文脈を抑えるためには、重要な施設であったため、視察をすることとしました。
 雲*宮自体は、5つの建物によって構成されています。その中には宮内の警備担当者、侍従などが生活する場所、政策論議がなされた場所、母屋など用途や人物ごとに分かれています。と同時に、雲*宮では、韓国伝統の婚礼を紹介している展示が開設されていました。前面に刺繍が施された新郎が新婦に送る箱(3つセット)、婚礼の儀式の様子を再現した人形、婚礼の際に交わされる所管などが展示されています。婚礼の儀式では、神主さん(の役→正式名称がわかりません)と新郎と新婦で中央のテーブルを囲み、礼をします。新婦の衣裳は両手の袖が縫い合わされたもので、礼をするとちょうど自分の顔が(つまり前が)見えなくなるように作られています。新郎は同じく顔を見せないように、両手で持つ団扇のようなものを持っている。そのテーブルには、小豆、栗、棗、餅などがあります。
 それと同じ場所に展示されているのが、誓約書の類です。納幣(ナプペ)とは、婚約後に新郎の家から新婦の家に送る婚約成立の証書です。通常、青のシルクと赤のシルクを一緒に入れて夜に新婦の家に送ります。納徴は、嫁に認めてくださってありがとうという意味を込めて新婦の家から新郎の家に送られるものです。四星(サソン)は、新郎の生年月日時を簡紙に書いたもの指します。これを送ることによって新婦側が宮合法などにそって相性を占い、同時に結婚の日取りを決める参考にした、ということのようです。今ではその形だけが残って、儀礼として行われ、実際に占いだけ良く行われていそうです。……(内容が多岐に渡るため、割愛した部分も多くあります)

ウンヒョングンの内部 伝統的な婚礼の儀式の様子が
再現されている。

 その後、同地区周辺にある韓尚洙刺繍博物館(ハン・サンスジャスパムルグァン)と組紐博物館(Dong-Lim Korean maedup Museum)へ視察に赴きました。前者は写真撮影が禁止であったため、画像は残されていません。韓さんの作る刺繍は国の重要文化財です。そもそも、韓国の伝統衣裳において、男性の胸の刺繍は王様や官僚が使ったものです。その役割はベルトのバックルといったところでしょう。その他に刺繍が用いられるのは、結婚です。昔の韓国の女性は刺繍ができなければ嫁に行けないとされていました。新郎から新婦へと渡される結納的な送りものの箱にも刺繍が鮮やかであることからも、その重要性が伺われます。胸飾り、衣裳も同様に、派手で華やかな刺繍が用いられています。
 この博物館は非常に小さいものであるが、人間の髪で編んだ刺繍など、刺繍の技量を競うものや、飾り箪笥のように、一つ一つの引き出しに飾りを施すもの、箸入れ、ポット蓋、結納品を一つ一つ入れる巾着などに数多くの刺繍が施された品々を見学できます。
 次に当初の予定にはなかったが近くに組紐博物館があり、無料であったので次のスケジュールの時間調整も兼ねて見学することとしました。この見学は韓国における刺繍と組紐などの装飾物と密接な関係を知る上でも非常に有効なものでした。韓国では、ノリゲと呼ばれる組紐と様々な動植物をモチーフとしたアイテムを装飾物としているが、そのモチーフ各々にも多くの意味がこめられていることがわかります。たとえば、珊瑚は枝をどんどん伸ばすから、子孫繁栄・一家繁栄、かぼちゃは金運、蝉は忍耐、フクロウは知恵、こうもりは子宝、双蝶は夫婦の和合(ゆえにこれは独身者は使えない)など、神戸ウエディングで今後アジアとのネットワークを考え、日式ウエディングを韓国向けにアピールする際にも日本のウエディング形式でありながら、韓国での様々なモチーフがテーブルコーディネートを仕上げるあたり、意味あるコンセプトとなるようにも感じられる。

展示された組紐。
組紐は女性がナイフなどの道具を
さしておくために使われる。
3日目に訪れた三清閣(サンチョンガク)の門

2日目午後
 タクシーで培花女子大学へ、移動。日本語通訳科の李Gyeok先生に面会。事前のアポイントである手紙と、E-mailがこちらには届かない事故があり、少々失礼な出来事があったにもかかわらず、非常に暖かく迎えていただきました。08年の9月頃にアンケートをすること、国(文部科学省)からの補助金のプロジェクトであることをひととおり説明しました。その過程で、日本における「神前式」などの神道が、韓国社会において問題ではないか、とお尋ねしました。李Gyeok先生によれば「記述してあることは、そんなに問題ないが、ただアンケートとなると、韓国ではポピュラーではない神前式を選ぶ人はおらず、あまり比較にならないかもしれない」とアドヴァイスを含む回答をいただきました。また「日韓両国の衣裳など、画像を入れることで、アンケートが単にアンケートではなく、学生たちの情報交換にも役立っていいのではないのか」というお言葉をいただきました。アンケートの依頼も快諾を頂き、歓待していただきました。
 次に、YALE女子高校にアンケートの依頼に向かいました。学長室へと通され、培花女子大と同様の説明をし、承諾をいただきました。同校は中学校、高校、専門学校を経営している大きな学校です。専門学校はデザイン系なので、ウエディングのアンケートなら、デザイン系の生徒を対象とした方がいいのではないか、と学長からご提案をいただいた。それにたいしては、学長に一任する旨を伝えました。同時に日本でアンケート対象にするのは普通の高校生であることも合わせて伝えておきました。
 以上、3校と3箇所の挨拶と視察を終え、ここで土井講師と倉橋は二手に分かれて、スケジュールをこなすことにしました。

@倉橋(コリアナ化粧美術館+江南ウエディングドレス地区)
 視察を続けるために、倉橋と李はタクシーで、漢江を越えて江南区へと移動した。そこでの目的は、コリアナ化粧美術館と江南ウエディングドレス地区です。残念ながら、江南ウエディングドレス地区の視察はできませんでした。ドレス・ショップは完全予約制であったし、先に立ち寄ったコリアナ化粧美術館の閉館時間に合わせて行動したため、到着したのが19:30を過ぎていたこともあって、ほとんどの店が閉店後でした。したがって、この出張で唯一未消化なプランとなってしまいました。
 とはいえ、コリアナ化粧美術館はきちんと視察できました。コリアナは韓国第2位の化粧品会社です。そこに常設の美術資料館があります。写真、ビデオ撮影は禁止だったため、内部の画像を記録することは出来ませんでした。この博物館は、コリアナ化粧品会社の現社長が30年かけて集めたコレクションの展示がされています。化粧品の博物館は世界でも珍しいですが、三国時代から挑戦王朝時代の韓国を中心にした化粧品の歴史はなかなか見ることができません。例えば、大根や白菜の種から作ったオイルだとか、宮廷の化粧法だとか。
 まず、入り口を抜けるとこの化粧品博物館のテーマが書かれています。それを右手に角を曲がれば、顔だけではなく足から髪の先まで、宮廷の「化粧」装飾品の一式が並べられています。その隣には、男性のものも。男性の装飾品のメインは胸飾りの刺繍と帽子のです。帽子専用の木箱まで存在しました。化粧品入れは、高麗時代が青色の陶器、朝鮮時代のものは赤色の陶器と時代によって分かれていることを係りの人から聞きました。鏡は青銅の飾りを数多く施した豪奢なものだったようです。
 また、日本との関係において歴史性を感じるものもあります。韓国がいわゆる現在のファンデーション=白粉に国の許可を出したのは、1916年だそうです。「朴家粉」という商品名でした。あまりの人気にその亜種=パチモンも登場します。それが「徐家張粉」です。その後、日本の占領期には、日本のものが入ってくることになりました。缶にはカタカナで「ドーラン」の文字があるものが展示されています。髪飾りもまた豊富に展示されています。(……内容が多岐にわたるため、割愛した部分も多くあります。ご了承ください。)

A土井講師(2校の大学教授に協力依頼)
 医師であり地元名士の金eum-mi女史の計らいでYALE女子高への送迎を含め、各校への働きかけがありました。金女史のクリニックに伺って、今回の我々のその後の予定をじっくり直に話を出来る機会を得られました。しかし、協力を仰げるであろう大学の教授方に連絡を取れる段になったのが18時を過ぎており、連絡が取れませんでした。急なこともあり、面会はかないませんでしたが、金女史より、メイファ大学とセジョン大学(つづりなどは先生方と確約が取れた段階で金女史より連絡があります)の2校は間違いないだろうとの見解を得ることができました。

【3日目(3月12日)】
9:00 ホテル出発
10:00〜11:20 同徳(ドンドック)女子大学訪問
11:30〜12:30 三清閣(サンチョンガク)視察
15:00 ホテル出発 空港へ
19:05 ソウル発KE721 便にて関空へ     
(少し遅れて出発したので実際は19時半ごろ)
21:15 関空着 解散

 この日の中心的な予定は、同徳(ドンドック)女子大学で図書館学を専門とされるSung Kee-joo先生を訪問することでした。ちょうど10時くらいに同大学に到着し、研究室へと向かいました。これまでの3校と同様に、アンケートの趣旨、この現代GPプロジェクトの趣旨を説明後、依頼を快諾していただけました。Sung先生は「私も、同じ研究者として、資料の大切さは良くわかりますので、是非協力させていただきます」とおっしゃってくださいました。また、アンケートの実施時期について、示唆もいただいた。韓国の大学は9月から始業するため、9月入ってすぐは先生方もお忙しいく、また学生たちもあまり来ないようです(韓国の大学の一般的な風習)。したがって、9月1日から3週間ほどたった時期にアンケートを行うことが最適だろう、との見解をいただきました。アンケートのスケジュールを立てる際に有用な情報であったように思います。
 その後、最後の視察地である、三清閣へと向かいました。三清閣は、かつては国賓の接待にも使われた高級料亭で、半世紀もの間一般の入場は禁止されていました。しかし、2001年にソウル市が買い取り、現在は民間企業が運営しています。ここでは伝統公演を見たり、茶礼を体験したり、韓定食のレストランを利用することがきます。6棟あるうちの中央に位置する庭では、現在も韓国伝統の結婚式を行うことがあります。


 訪れた場所での視察内容は、まだまだ書くことがありますが、以上が韓国出張の全行程です。「魅力創出」(アトラクティブブライダル)部門は、20年度の目標に、ブライダルアンケートに加え、模擬結婚式、新たな神戸ウエディングの魅力の提案を大きな柱として掲げています。アンケートの更なる発展と、韓国の伝統的な婚礼が、神戸ウエディングにいかなるアイディアを提供できるのかが、この視察出張の最終的な意義となるところでしょう。そのために必要なだけの資料とコネクションを得ることができたのは、この出張の成果です。主に土井講師の講義・ゼミの受講者が中心となって活動していく運びになるとは思いますが、今後神戸で海外挙式を受け入れるためには、韓国の婚礼のアイディアは日本になく、婚礼に限らず文化全般を抽象化し、発想の素になれば幸いです。そうした提案を学生諸氏に提供できる機会が増えるだろうと、思われます。
 ※視察地がビデオ撮影、写真撮影不可能な場所も多かったため、公開できない写真が数多くあります。ご了承ください。また、訪問した各大学の先生たちとの話も記録して来ましたが、こちらも報告書のみに掲載という約束ですので、ここでの公開を見合わせました。ご了承ください。