地域・大学インタラクション型の学習事業
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神戸山手短期大学
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学外講師による講義(ブライダルマネージメント)第9回

「魅力創出」(アトラクティブブライダル)部門

日 時:

2008/6/30  月曜2限

会 場:

神戸山手短期大学1337教室

参加者:

ブライダルマネージメント履修者33名
出席者26名(担当:川ア佳代子教授)

講 師:

西尾智子(神戸ポートピアホテル)

特別講義内容

【概略】 
  「ブライダルマネージメント」において、学外講師を招く講義は、この第9回が最後です。今回は、神戸ポートピアホテルより、ブライダルプランナーとして経験豊富な西尾智子氏をお迎えしました。西尾氏は「ブライダルプランナーこれからブライダル業界を目指す人へ」と題して、現代の業界の潮流や、氏個人の体験などを踏まえて、語ってくださいました。

【いまどきのウエディング】
 最初にポートピアホテルのウエディングのDVD(イメージカットのスライドショー)を観ました。これは営業用、プロモーション用に西尾氏自身が指揮を取って制作されたものです。この映像は手っ取り早くウエディングプランナーが何をする仕事で、何を重視しているのか、ということをイメージするためには有効な手段です。
 現代のブライダル業界は、市場規模が2兆円を超え、新居準備や旅行等を含めると、その倍の4兆円にまで膨れ上がると言われています。2004年の段階で従業者数は11万人を超えているそうです。
 そんなブライダル業界ですが、次の3つの点に、この市場の性格が現れています。それらは「時代の経済状況」「流行」「人のものの考え方」です。一言でまとめれば、非常に流動性の高い商品を扱う業界、ということになるでしょう。例えば、「男女平等」の理念は、晩婚化、非婚化、婚礼スタイルに影響を与えています。また、以前は新郎の自宅で行われていた婚礼(祝言と祝宴)、つまり「嫁入り」は、いまや自宅外でするほうが当たり前となっています。
  この例にみる変化はもう少し細かく見ることもできます。ベビーブーム世代の披露宴は、参列者が親族・親兄弟、学生時代の仲間、会社の同僚・上司であり、仲人は上司でした。つまり、血縁、学校縁、社縁でした。ですが、ホテルウエディングや、大型結婚式専門会場が現れはじめる70〜80年代は、ゴンドラ入場、スモーク、お色直しの回数の増加、キャンドルサービス、新婦の「感謝の手紙」など、披露宴が「ショー化」た時代でした。この変化は、前者の披露宴が「公的(上司、仲人主体)」であったのに対し、後者では「私的(友人中心、二次会)」な要素が増えだした、ということも可能でしょう。
 ところが、日本のブライダル業界は「バブル経済の崩壊」(91年頃)がおとずれると、大転換を求められることになります。まず、神前式が主流であったものが、チャペル式になりました。それにともなって、ホテルや式場のチャペルが建設ラッシュになりました。現在では(04年のデータ)、チャペル式が75%、神前式が8%と神前式は完全に下火となってしまっていました。また、仲人も95年までは60%近く存在していましたが、05年にはわずか1%しかその存在を確認できなくなりました。
 その転換点に「情報」というキーワードを置いても良いかもしれません。93年に結婚情報誌『ゼクシィ』が登場します。『ゼクシィ』の特徴は全国11地区に地方版を有し、ヴィジュアル重視で、婚礼施設や関連商品を紹介しているところにあります。『ゼクシィ』登場の意味は、「画一的な婚礼」よりも「新郎新婦が情報を集めて創る、オリジナルで個性的な婚礼」へと目先をシフトさせた点にあります。
 それによって、業界側では競争が激化するとともに、複雑化しました。また消費者側では「ニーズの多様化」が起こりました。婚礼場所は、従来の施設に加え、リゾート、海外、ゲストハウス、レストランなど、会場では、チャペル、船上、競技場、テーマパークなど、ハード面だけでもこれだけ幅が広がりました。
 では、今どきのウエディングの特徴はどの辺りにあるのでしょうか。まず、少子化にともなって、結婚適齢期の総人口自体が少なくなっています。また晩婚化によって「大人」カップルが増えています。そして、ウエディングに自分らしさを求める人が増えています。そうした状況を前提として、プランナーの腕の良し悪しが、問われることになります。

【一生に一度】 
 結婚式は、基本的に一生に一度のものです。そして、300万円ほどのお金がかかります。しかし、信じられないようなミスも起こることがあります。DVDの撮影ができていなかったり、会場の絨毯をリニューアルしたら、お客様の想定していらしたイメージと違ったり…。なにやら、ウエディングプランナーは大変そうです。
 ウエディングプランナーとは、結婚式・披露宴を、総合的に企画運営する人のことを指します。数年前より、女性に人気の職業となりました。新郎新婦とゲストの間で、その両方のお世話をすることになります。とはいえ、もっとも大切なことは「一生に一度のウエディングを、カップルと一緒につくり、満足を提供する」ことです。

【ウエディングプランナーの仕事の魅力・素質】
 ウエディングは人生で最も嬉しい日のひとつです。たくさんのカップルのウエディングをお手伝いが出来ることがプランナーの仕事の魅力の一つです。そして、結婚式・披露宴は多くのスタッフたちと協力し合わなければなりません。そこには、様々な業種のプロと一緒に働けるという魅力があります。また、女性(花嫁)が主役の市場ですので、女性的な感性(センス・人への細やかな配慮)が必要です。それは、難しいことですが、やりがいがあるものとも言えます。
 ウエディングプランナーになるためになにより大切なのは、お客様(カップル)に信頼されることです。必要な資格はありませんが、必要な「素質」があります。それは「コミュニケーション能力(カップルへ・ゲストへ・ご両親さまへ)」「ホスピタリティ(おもてなしの心)」「アイディア(「できない」とは言わない)」「手配の正確さ・緻密さ」「センス(色彩・ファッション・音楽)」「知識欲(マナー・しきたり・流行)」などです。

ビデオの説明をする西尾講師 講義の様子

【Q&A】 
 講義の最後に、質疑応答の時間を設けました。次のようなものがありました。
Q:映画『ウェディングプランナー』のようにプランナーさんが新郎を好きになってしまうことは実際にあるのか?
A:ありません。カップルでいらっしゃるので。ただ、逆は過去に実際にありました。新郎様が、若いプランナーを好きになってしまって、アプローチをされたことがあります。実際のところ、プランナーの担当を振り分けるのは気を使います。例えば、新婦のほうが年上のカップルの場合、若いプランナーは担当にしない。それは新婦の微妙な感情を配慮するためです。
Q:マリッジブルーを感じているお客さんはいますか?
A:マリッジブルーは「本当にこの人でいいのか」と悩むだけでもありません。結婚には、各種の行政手続き、引越し、仕事など結婚にともなった変化が大きく、そうしたことが負担となります。それによって、余裕がなくなり、より深くマリッジブルーにはまる人もいます。
Q:仕事をしていて、ストレスがたまっているときに、お客様に笑顔で接するのは苦ですか?
A:苦です。なぜかはわからないけれど、悪いことや苦手なことが重なるときがあって、それによってストレスがたまっているときは、やはり何をやってもうまく行く気がしないから、苦です。ですが、人間うまい具合に出来ていて、忘れることも出来るし、悪いときも、本当にそればっかりじゃないから、うまく楽しくやれる婚礼に力を注いでバランスをとってやることが最も大切です。


 非常に網羅的に昨今のウエディングプランナーの話を紹介していただきました。西尾氏本人がプランナーであるということもあり、説明された内容がより身近に感じられた講義でした。西尾氏は正直な方で、困ったことは困った、苦手だったことは苦手だった、と包み隠さず語ってくださいました。そうした現場の声が、学生たちにとってリアリティのあるものとして響いたならば幸いです。