地域・大学インタラクション型の学習事業
トップページ
取組概要
活動計画
  19年度
  20年度
  21年度
実施報告
  19年度
  20年度
  21年度

神戸山手短期大学
キャリア・コミュニケーション学科

〒650-0006
神戸市中央区諏訪山町3-1
TEL:078-371-6184
FAX:078-371-4972


第2回学外講師による特別授業

「魅力調査」(マリンポートツーリズム)部門

日 時:

10月30日(木曜日)3限

場 所:

神戸山手短期大学1337教室

参加者:

「企業スタディ」(担当:村上和子教授)
受講者 15名

講 師:

高野多美(ファッションコーディネーター)

テーマ:

「流行とファッション産業」


特別講義概要

【概略】 
 関西で幅広くご活躍のファッションコーディネーターの高野多美氏に「企業スタディ」の時間を利用して、講義をしていただきました。高野氏は、大手広告代理店勤務の後、大丸神戸店のファッションコーディネーターとして活躍。その間、雑誌やテレビなどに出演。ファッション産業や企業のアドバイザーを数多くつとめられ、わが国でプロとしてファッションコーディネーターの仕事に就かれた、いわば草分け的存在の方です。講義のテーマは、「流行とファッション産業」です。高野氏は、長年世界の流行を作り出すパリコレクションの現場やビジネスとしての舞台裏からのリサーチを、自らの取材活動を通して取り組んできた経験を紹介しながら、消費社会の分析。またそうした豊かな経験をもとに、現在求められる人材像について熱く語ってくださいました。流行とファッションは、文化、産業の面において大変重要なキーワードですが、「観光」においてもまた然りです。特に、おしゃれに関心のある学生たちにとっては、高野氏の存在そのものが憧れであり、ビジネス界で自分のポリシーや行動を光らせ、リーダーとしていつまでも求め続けられる人であるためには、どのような自分にならなければならないのかを、肌で感じることができる、非常に興味深いお話になると思います。

【消費社会の時代的変化】
 現代が「消費社会」と呼ばれる時代であることに、意義を申し立てる人はあまりいないでしょう。この「消費社会」はどのような変化をたどっていったのでしょうか。はじめに、それを振り返ります。
 20世紀は「量」の時代でした。それは、「モノ」の時代と言ってもよいでしょう。しかし、21世紀は、「質」が優先される生活中心主義の時代です。均質的で、画一的なものを大量生産する時代は、成熟した消費社会においては、人々の需要(ニーズ)に適さなくなってきています。より単純に言えば、「人と同じモノは持ちたくない」というのが現代のニーズであると言えば、わかりやすいでしょう。
 国内の事情をより細かく見ていくこともできます。70年代は、高度経済成長によりビジネスを立ち上げやすく、物も売りやすい時代だった。この時代は、まだモノの時代であったといえるでしょう。しかし、80年代あたりから、消費社会は多様化していきます。「記号消費」の時代とも呼ばれた80年代は、諸個人の好みが、十人十色に変わっていった時代でもあります。ところが、21世紀に入った現代に至っては、「一人十色」といった具合に一人の人が場所、時間、相手、気分などによって自分の好みを変化させる時代です。
 ファッションの文脈も、この消費社会の流れから逸脱するものではありません。現在、「ファッション=流行」の中心は、アメリカです。言い換えれば、このことは市場の中心がアメリカ(特にニューヨーク)である、ということを意味します。他方、「モード=クリエイティブ」の中心は、パリコレで有名なパリです。Christian Diorなどのオートクチュールの権威と伝統を考えれば、わかりやすいかと思います。後者に比べ、前者は非常に多様で、流行の盛衰も激しい世界です。
 加えて、高度資本主義時代に入った昨今の経済状況と、それが与える個人への影響は大きくなってきています。それを象徴する言葉が「所得の二極化=格差社会」です。こうした背景によって、ますます消費社会における「個人」というのは、捉えることが難しい存在になってきています。それは、ビジネスの世界においては、大きな課題とも言えるでしょう。

【今求められる人材】
 では、上記のような時代には、どのような人材が求められるのでしょうか?高野氏は、以下の点をあげて述べます。

 ・役に立つ人になること
 ・人に好かれる
 ・礼儀正しい
 ・言い訳しない
 ・他人の心の痛みがわかる
 ・正確な言葉遣い
 ・清潔
 ・正しい姿勢
 ・時間厳守
 ・個性

 まずこれらが基礎的な素質として要求されます。あまりにも基本的なことですが、多様な個人の多様なニーズをとらえるには、まず消費者個々人との人間関係、信頼関係を構築するという基礎作りから始めなくてはならないのです。
 次に重要なことは、「考える仕組み(Thinking Method)」です。つまり、ビジネスをするにあたって、理論的・体系的な方法・手段を採用しなければなりません。そのヒントとして「5W2H」の考える仕組みを紹介されました。5W2Hとは、Why, Where, What, When, Whoの5WとHow muchとHow manyの2つのHです。ホテル舞子ビラの森重社長が魅力創出部門の特別授業の中で強調していたように、「数字をつくることができる」こと、すなわちHow muchとHow manyがとりわけここでも重要視されています。
 以上に加え、企業のトップの考え方を知ることが大切であること、そしてファッションコーディネーターは、服を組み合わせることだけでなく、むしろ、好きなもの、すなわち、自分の得意分野を見つけなければならないことを話されました。
 「ニーズ」=定番品を逃さないためには、時代の流れを読むことに長けていなければなりません。他方で、「シーズ」=種、生み出すもの、を作る能力も求められる社会であると、高野氏はおっしゃいます。この2点は、ファッション産業が消費社会の最先端にあることを象徴する言葉だといえるでしょう。

【考察】 
 今日と比べ、女性がキャリアを持ちながらスペシャリストとして活躍することが、まだまだ少なかった1970年代。ただ受身で指示を待つのではなく、自分の特性を活かしたオリジナリティがなければ、企業から必要とされる存在にはなれないと、「自分に投資した」と話される、高野氏の華やかなキャリアの中から、つぎつぎと自分をステップアップさせてきた取り組みや、思いがけない結果となって展開していく人間模様に、学生たちは釘付けになりながら聞き入りました。
 特に、「こだわらなければ、選ばれない」の力強いメッセージに、胸を打たれた様子。最後に学生たちは、「先生は一生懸命頑張ってこられ、とてもカッコイイ。どんな企業や業界もこだわりが大切。そのことが、また賢い消費者を育てていくことを学びました。」「どんなときにも、選ばれる私になれるよう、自分への自己投資の仕方を見つけて、頑張らないといけないことが理解できました。有り難うございます」とコメント。全員から大きな拍手がおくられました。