地域・大学インタラクション型の学習事業
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神戸山手短期大学
キャリア・コミュニケーション学科

〒650-0006
神戸市中央区諏訪山町3-1
TEL:078-371-6184
FAX:078-371-4972


卒業研究発表会「神戸発! 婚礼スタイル新提案 ブライダルシャワー」

「魅力創出」(アトラクティブブライダル)部門

日 時:

平成22年2月19日(金)10:30〜12:00

場 所:

ホテルプラザ神戸 18階「穹」-SORA-の間

主 催:

神戸山手短期大学 キャリア・コミュニケーション学科

参加者:

49名(企業・官公庁・大学関係者、教員、学生など)

特別協力:

神戸ウエディング会議

協 賛:

兵庫県 友松会(神戸山手学園卒業生の会)

後 援:

株式会社ホテルプラザ神戸 神戸新聞社 毎日新聞神戸支局 神戸新交通株式会社 株式会社サンケイリビング新聞社兵庫営業本部 有限会社富士商会 合資会社浜田印刷 株式会社栄美通信 NPO法人神戸グランドアンカー ニーズワンDJ編集室

卒業研究発表会内容
【概要】
 10月25日に行ったブライダルシャワーの実演体感会「Bridal City より愛を込めて ★神戸山手発結婚前祝★ 〜ブライダルシャワーを神戸から〜」を基に、ブライダルゼミ生が、理論的な側面からも更なる研究を重ね、より洗練されたブライダルシャワープランを提案する「卒業研究発表会」を行いました。第一部をゼミ生の卒業研究報告とし、第二部ではブライダル産業に従事する3名の方々にご批評をいただき、ディスカッションを行いました。そこでは「どうしたらこのブライダルシャワーが婚礼商品として実現可能になるのか」、「ブライダルという切り口で地域活性を目指すにはどうしたらよいのか」という点について話し合われました。

第一部 卒業研究発表会
 卒業研究発表会で学生が使用したスライドをPDFファイルで閲覧することができます。>>こちらをクリック

【神戸をブライダルの街へ】
 ゼミ生が念頭に置いている大きなテーマは、ウエディングを通して神戸の街を活気づけることです。そこで彼女らは、欧米のウエディングに関する文化・習慣であるブライダルシャワーに目をつけ、これを新しいブライダル商品の提案として神戸から日本全国に発信することに意義があるのではないかと考えました。日本にブライダルシャワーを根付かせるため、日本式に調整を図ったものを提案することにしました。

【ブライダルシャワーとは?】 
 では、そもそもブライダルシャワーとはどういうものを指すのでしょうか。ブライダルシャワーとは、結婚する花嫁を祝福する前祝いパーティのことです。一般的に結婚式の2ヶ月前から2週間前ぐらいに、花嫁、または花嫁の姉妹や友人など花嫁と親しい未婚の女性が務めるブライズメイドの自宅やレストランなどで行われ、パーティのアレンジはブライズメイド(花嫁のお世話をする友人)が行い、参加者は伝統的に女性のみでお茶やおしゃべりを楽しみながら花嫁を祝い、花嫁が集まったプレゼントを順番に開けていくという慣習です。ブライダルシャワーのプレゼントは、化粧品や調理道具、ランジェリーなどといった新婦しか使わないものをプレゼントします。
 また新婦のブライダルシャワーに対して、新郎は男性の友人たちと「バチェラー(独身)パーティ」を行います。これは多くの場合結婚式前夜に行われ、レストランやバー、ナイトクラブなどで男友達と共に独身最後の夜に羽目を外すイベントのことです。ブライダルシャワーの他にも欧米には、赤ちゃんの誕生を祝う「ベビーシャワー」、引っ越しを祝う「ルームシャワー」などのシャワーパーティがあります。
 では、これを日本で定着させるにはどうしたらよいのでしょうか。そこで、一度日本の現状を確認しておきましょう。

リハーサルの様子 プレゼンの様子@

【日本の結婚の現状】 
 本学が実施したブライダルアンケートの集計結果(平成20年度「日韓結婚意識調査」)より、「あなたは結婚したいと思いますか?」という質問に対して、8割の人が「したい」と回答しており、「結婚したい理由」は「自分の家庭を持ちたいから」「好きな人と一緒に暮らしたいから」などでした。そのような結果が出ているにもかかわらず、厚生労働省による平成16年の人口動態統計を見てもわかるように、婚姻件数は減少する傾向にあります。
 多くの人々が結婚していた時代とは異なり、現在ではライフスタイルの多様化に伴い、結婚したくてもできない人を含む非婚化/未婚化が顕在化してきています。それに付随して、1970年代の第2次ベビーブームを境に、出生率も減少しています。そうした背景から近年婚活が注目されるようになっています。
 では、どのようなアレンジをしたら日本でブライダルシャワーを展開できるのでしょうか。

【日本式のブライダルシャワーの提案】 
 以上のような文脈を踏まえて、日本式のブライダルシャワーを提案しました。日本人は欧米人よりパーティ慣れをしていないので、日本人がシャイな部分を払拭し和気あいあいとするためにも本番前の予行演習が効果的と考えました。
 そして、その内容は、「プレゼント贈呈」、「ドレスの装飾」、「フェイクケーキ作り」、「予行演習」、「婚活」をポイントとして構成しました。欧米のブライダルシャワーの2つの核は、プレゼント贈呈と友人達と楽しく過ごすことです。プレゼントを渡す工程にも工夫してあります。普通に渡すのではなく、新郎新婦の友人から1人ずつ選んでペアを作り、司会者が出す指示に従ってプレゼント贈呈をします。またプレゼントの開け方もアレンジをし、大袈裟に開けたり、新郎新婦で1曲の音楽の中でどれだけたくさんのプレゼントを開けられるのかを競いあったりするのもいいでしょう。
 次にドレスの装飾について。普通のドレスを着てしまっては、実際の挙式や披露宴を何度も繰り返す事態になってしまいますので、何組かペアを作り、プレゼントのラッピング(包装紙やリボンなど)で、ドレスを自由にアレンジしてもらうイベントを行います。
 続いて、フェイクケーキについて。挙式や披露宴では、生ケーキが用いられることが多いが、ブライダルシャワーなので、カラータイツ、ストッキング、タオル、パンツを使用してフェイクケーキを作ります。10月の体感会では、参加者に最後の仕上げを手伝ってもらいました。そして、フェイクケーキで使用したタオルをお土産としました。他にもパンツを結婚式の当日に着用したり、ポケットチーフとして用いてもらうなど、裏ドレスコードとするのもおもしろいかと思います。
 もちろん、これは一例にすぎず、多くのバリエーションやニーズに沿ったアレンジはいくらでも可能です。神戸は異人館やジャズの街として有名です。たとえば、異人館では、明治時代を意識してレトロコスプレをしたり、三つ編みや蝶ネクタイ、髭などをドレスコードとするのもいいでしょう。あるいは、ジャズバーで行うならば、友人が新郎新婦をイメージしたカクテルを作るなど、それぞれのカップルの個性に合わせて、様々なアレンジが可能です。

プレゼンの様子A プレゼンの様子B

【神戸ならではの要素】 
 ですが、それが地域活性に結びつかなければ今回のテーマは未消化に終わります。ブライダルシャワーといっても、食事がでないのは物足りなく感じます。ですが、料理を用意するとなると、非常に高価です。そこで、お茶とお菓子でのもてなしがちょうどいいのではないかと考えました。紅茶やスイーツといえば神戸を連想する人も多いはずです。
 神戸の洋菓子の歴史は1873年の『亀井堂總本店』の開店から始まったとも言え、明治初期から神戸の洋菓子文化は始まったと考えられます。そして、6系列が存在し、業界の基盤となっています。他方、神戸の紅茶文化は、明治時代に神戸に入ってきたと考えられています。コーヒーは、神戸では明治7年から販売されています。
 次に、スイーツについてです。ブライダルシャワーを神戸から発信するということをスイーツでも表現したいと考えました。そこで、スイーツの配置で神戸の街並みを表現しました。手前側には海をイメージし、青を基調としたスイーツ、そしてポートタワーと観覧車を両側に配置しました。中央には神戸のにぎやかさをイメージさせるため、それぞれのスイーツに柑橘系の果物をふんだんに使用しました。奥側には山並みをイメージさせる、ロールケーキやモンブランなどを配置し、同時に四季を表現しました。

【まとめ】 
 これまでに見てきたように、結婚に関する日本の現状は、晩婚・非婚・少子化にもかかわらず結婚願望が8割もあります。そこで、婚活要素を盛り込んだブライダルシャワーを企画しました。それらから派生する需要と供給が神戸の地域活性につながると同時に、海外からのお客を呼び込むために、「日本のブライダルシャワー」という形で全国に発信していければなお素晴らしいと考えています。

プレゼンの様子C ディスカッションの様子@

第二部 ディスカッション
 第二部では、大阪学院大学教授(ならびにシーサイドホテル舞子ビラ神戸)の森重喜三雄氏、株式会社コンチェルトの南部真知子氏、株式会社ロングウィッシュの盧玉能氏に今回の発表への批評していただき、学生2名とのディスカッションに参加していただくことにしました。
 ディスカッションに先立ち、学生からブライダルシャワーの経済的なメリットを示した図を提示しました。この図は、PDFファイルで閲覧することができます>>こちらをクリック
 まず、ブライダルのプロデュース会社、ホテル、結婚相談所を例にメリットを整理しました。これらにおけるメリットは、第一に、商品プランの拡大、第二に、新しいものを提案することで各事業者の宣伝効果を上げるにつながることが考えられます。
 個別には、プロデュース会社が新郎新婦の友人が主催するブライダルシャワーを行った場合、プロデュース会社の信頼度が向上すると同時に、(その友人らが次に結婚する際に)リピーターをもたらすことができるのではないでしょうか。
 ホテルの場合、小宴会場の(平日の)稼働率の向上、ホテルそのものを利用する機会の増加、「1.5次会」という名前を、オシャレに「ブライダルシャワー」と呼ぶ名称の置き換え、などのメリットがあると考えています。
 結婚相談所の場合、結婚相談所が主催するブライダルシャワーを行うことで、祝福の場であると同時に、出会いの場(婚活の場)を提供することができ、カップルの成婚率が上がれば収益が増します。
 また、海外からのお客を呼び込むためにもブライダルシャワーは有効であると考えます。海外では、結婚時に多くの写真を撮ることが一般的です(とりわけ、中国や韓国ではこの傾向が見られます)。そうした人々に神戸のロケーションを利用して前撮り写真を撮ってもらったり、ブライダルシャワーとして神戸への海外旅行をしてもらうことで、親孝行をしてもらう機会を創出できるのではないでしょうか。
 
 以上に対して、3名のパネラーからコメントいただきました。
 最初に、ホテル経営者の立場から森重氏に批評を頂いた。森重氏自身、10年以上前、この企画を実際に外資系ホテルで商品にしようとしたことがあったそうです。それは欧米の女性だけのパーティをイメージしていたそうですが、うまくいかなかったそうです。しかし、今回の発表では男女ともに参加できるパーティとして設定されていること、ホテルの空いている部屋を有効利用できる、お茶とお菓子というのも特色があっていいのではないか、と思うと言ってくださいました。しかし、ホテルは平日の夜も小宴会場が空いてしまうことがあるので、やはりお酒のことも考えたほうがいいのではないかと提案されました。
 次に、会場経営者として南部氏にお話しいただきました。南部氏は、ブライダルシャワー本来の趣旨(花嫁を祝う)と学生たちが提案した「婚活」要素は、位相が異なるのではないか、という指摘をされました。ならびに、ブライダルシャワー=婚活だ、ということはPRの際にマイナス要素になりかねないので、そうした部分をどのように解消するのか、という批判をいただきました。そして、さらには誰が購買者なのかということを明確化する必要がある、と指摘されました。
 最後に、ウエディングプランナーの視点から盧氏にコメントを頂きました。まず、サプライズ要素をもっと増やし、わくわく感を増やしたパーティにした方がいいのではないか、という現場のアイデアを提案されました。そして、南部氏同様に費用負担を誰がするのか、たとえば、ドレスは非常に高価です。費用を会費にするのか、主催者負担にするのか、という点を指摘されました。そして、神戸にある雑貨や家電の販売店とタッグを組んで、神戸発のオシャレなグッズの組み合わせ提案するのはどうか、という意見をいただきました。
 そのほか、会場からは、日本の伝統文化であり、現在衰退しつつある「結納」をブライダルシャワーに置き換えていくアイデアもいいのではないかという意見も出されました。
 
 では、このブライダルシャワーは婚礼商品として実現可能でしょうか?
 盧氏からは、「1.5次会」を「ブライダルシャワー」という名前に置き換えよう、という提案はおもしろく、もっと日本にパーティが増えることに繋がるだろうという点ではよいと思われます。その上で、結婚式関連のパーティを友達主催でやるという点は広めていくのは、良いと思う、さらには神戸は震災を体験しているので、絆という部分を大事にし、お父さんやお母さんを呼んで、サプライズ感を出し、感謝を伝えるということを含めて行うのはいいのではないか、という意見を頂戴しました。
 南部氏からは、あまり要素を詰め込みすぎず、「祝う」ということに集中してはどうか、との提案を頂きました。その付随的効果として「婚活」を全面化させないPR方法が有力ではないだろうか、さらに、「シャワー」という言葉が日本ではまだイメージがしづらく、もっとわかりやすい素敵な言葉に置き直す必要があるのではないか、という意見を頂きました。
 森重氏は、ブライダルシャワーは商品化可能だと思いますとおっしゃりました。自分が提案したときは、誰もブライダルシャワーのことは知らなかったし、原義に沿って女性だけのパーティをするのは難しい状態でした。さらには、ホテルにとっては、小宴会場の稼働率が上がり、たとえ単価が小さくても将来のお客様になっていただけるチャンスを広がるので、メリットが大きいです。しかし、「誰が仕掛けるのか」という問題が残ると森重氏は言います。もしプレゼントを重視するのであれば、多くの物販企業は興味を示すことがあるでしょう。では、彼らがブライダルシャワーを提案していくのか。あるいは、ホテルか、それとも学校なのか、という戦略的な問題があると思う、という発言をされました。

ディスカッションの様子A ディスカッションの様子B

【考察】 
 本学キャリア・コミュニケーション学科が、ブライダルを切り口として、地域社会、地域の産業、そして大学とのコミュニケーションを考えることを、ゼミでは常日頃行ってきたわけですが、10月の体感会にせよ、この卒業研究発表会にせよ、準備期間も長くかかったものでした。そうした場に、兵庫県庁や神戸市の関係者、神戸のブライダル企業の関係者、そして神戸の大学関係者など、「産・学・官」が一堂に会しこのような事業が行えたことは非常に意義があることでした。
 また、学生が1年間掛けて考えてきたアイデアを、その道のプロに批評し、共に検討していただける機会は、学生たちにとっても非常に有意義なものであったように思われます。
 しかしながら、先のディスカッションのパネラーの発言にもあるように、数多くの課題が残されています。提出された課題は次年度のゼミで引き続き検討していくことになっています。

【アンケート集計】 
 質問項目は以下の通りです。
1.本取組のアイデアおよび発表内容はいかがでしたか。
2.発表の形式・方法・構成・時間配分、学生の表現力(話し方、声の大きさ)などはいかがでしたか。
3.本日の提案(ブライダルシャワー)を取り入れたいと思われましたか。
4.その他気づかれたこと、注意すべきこと、改善点などありましたら、今後の取組に向けてぜひアドバイス等をお願いします。
 
 各質問に対する回答をいくつか抜粋します。
1.本取組のアイデアおよび発表内容はいかがでしたか。
・ウエディングによる神戸の活性化、特にブライダルシャワーに着目されたことは素晴らしいものです、そして商品化までを提案された内容は学生さんの域を超えたものでした。
・結婚願望があるのに結婚できない人が増えている中でこういった出会いの場があるのは良いと思う。婚活パーティよりも参加しやすいだろうし、友人たちで作るパーティだとカジュアルで気軽に楽しめると思う。カップルが増えて婚礼件数が増えることは大きな活性化につながると思う。
・10月の発表では知ることのできなかった部分まで知ることができ、良かったです。実際に商品価値としての部分に関してプロの方の意見を聞くことができ、とても有意義だったと思います。

2.発表の形式・方法・構成・時間配分、学生の表現力(話し方、声の大きさ)などはいかがでしたか。
・ディスカッションの時の学生の提案がわかりにくかった。スライドの手書きのものが見にくかったり、自分の提案なのにほとんど下を向いてしゃべっていた気がする。
・コンセプトがはっきりしており、将来性を感じます。現場の経験値を積むことでより商品が明確化するでしょう。
・よくぞここまで積み上げました。ですが、スピード、アーティキュレーションをもう少し改善されたらパーフェクト。それと、口頭で述べたこと、スライド画面、ハンドアウトのつながりを適宜指示(キュー)してくれるとわかりやすいです。

3.本日の提案(ブライダルシャワー)を取り入れたいと思われましたか。
・プラス商品として金額設定などを考慮しシミュレーションをはかりたい。
・婚活要素が強すぎて少々気になった。
・南部さんの指摘もありましたが、あえて新郎新婦をダシにして「婚活」をすすめるということもありだと思います。祝う側にもメリットがなければ。
・良いと思います。「1.5次会」よりも「ブライダルシャワー」の方がオシャレに聞こえるというのも、なるほどなと思いました。
・ビジネスとしては具現化するための課題があり、このあたりが解決すれば、浸透させるに値すると思われます。

4.その他気づかれたこと、注意すべきこと、改善点などありましたら、今後の取組に向けてぜひアドバイス等をお願いします。
・新郎新婦の購買意欲を高めるためにはどうしたらいいかを検討し取り組んでください。また、新郎新婦をどう感動させるのかを考えてください。収支表を作成してみてください。
・プリントの時が少し小さくて見づらいところがありました。
・現時点で学生という立場での発想が実際に結婚する時点ではかなり変化しているのではないでしょうか?時間には余裕がなくなり、費用には余裕がでてくるようなことが出てくると思うのですが…。
・分野ごとに生かし方が有ると思います。が、「喜び」と「金」がうまく結びつき、売り上げ、神戸活性化となるには、壁がまだまだありそうに思います。
・サプライズではなくなりますが、婚礼プランに組み込む、パックにするなどで、友達にブライダルシャワーの企画をお願いするなどで、日本人の遠慮しがちなところをプランとしていくのも割り切れてよいのかもと思います。